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観劇レポ『Meek ~神実の追蹤~』~作品編その8~

ずいぶんと長い時間をかけてしまいました。

今回で、この作品のストーリーは結末を迎えます。

初めの方とか忘れている方も多いと思うので、これを書き終えた後は『その1』からのまとめのリンクを貼る様にしますね。


それでは、始めましょう。





4月9日午後6時46分、コールドスプリング修道院、地下聖堂。

フードを目深にかぶったローブ姿の人物が姿を現す。

ゆっくり、ゆっくりと歩を進めるその背後から、疾風のような勢いで現れたライオット。
その人物の背中へと呼びかける。

ライオット「・・・オリビア」

その呼びかけにローブ姿の人物がフードを取り、ライオットへ背を向けたままで立ち止まる。
そう、その人物は他でもない、ライオットが心から愛した女性、オリビアであった。

ホワイトヘッド拘置所の爆発にて死亡したと伝えられていたオリビアが、ここコールドスプリング修道院にてエマの命令に従い動いていた。

真実はどのような事だったのか。
連絡を送ったのはロックとヒューゴであった事もあり、『パペット・プロジェクト』を進める者たちにとっての裏工作だったことは想像に難くない。
死を偽装するために持ち物だけは細工され、地下に潜ったのであろうか。

いずれにしても、ライオットの目の前にいるのは『彼が知るオリビア』である事は間違いない。

オリビア「・・・・・・」
ライオット「・・・探したよ」
オリビア「・・・騙しててごめんなさい」
ライオット「・・・・・・」
オリビア「命令には逆らえないの・・・」
ライオット「・・・命令・・・」
オリビア「もう・・・分かったでしょ?」
ライオット「・・・何が?」
オリビア「私は、本物のオリビアじゃない」
ライオット「・・・いつから?」
オリビア「あなたと出会う前から」
ライオット「・・・・・・」
オリビア「だから・・・私のことはもう忘れて」
ライオット「・・・え?」
オリビア「私は、あなたが思うような人じゃない。自由に生きることも、人を好きになることも許されない。人殺しの道具なの」
ライオット「・・・・・・」
オリビア「・・・だから・・・もう追ってこないで」

返事を待たずに歩き出そうとするオリビア。

ライオット「・・・全部嘘だったのか?」

その言葉にオリビアは足を止める。

ライオット「・・・オリビア」
オリビア「・・・・・・」
ライオット「答えてくれ」
オリビア「・・・知ったところで、何も起きないわ」
ライオット「オリビア」
オリビア「・・・造られた偽者の人間に、本当のことがあると思う?」
ライオット「・・・・・・」
オリビア「・・・全部、嘘よ」
ライオット「・・・・・・」
オリビア「・・・・・・」

彼女の口から出た答えに、即座に言葉が出ないライオット。
再びその場から歩き出そうとするオリビア。

だが、ライオットは1歩踏み出し、オリビアの背中へ向かい振り絞る様に自らの想いを伝える。

ライオット「・・・俺は君を愛していた」

その言葉に図らずも足を止めるオリビア。

ライオット「・・・君と出会ってか」

彼の言葉を遮るように、オリビアは懐から出した銃をライオットに向ける。

オリビア「それ以上・・・喋らないで」
ライオット「・・・どうして、君のことを忘れないといけない?」
オリビア「・・・・・・」
ライオット「一緒に過ごした時間は、嘘なんかじゃないだろ?」
オリビア「・・・・・・」
ライオット「たとえそれが、命令されたものだったとしても。君に、何の気持ちが無かったとしても」
オリビア「・・・違う・・・」
ライオット「・・・オリビア」

彼女の瞳には『人殺しの道具』である自分の存在が、これまで過ごしたライオットとの時間により生まれた『新しい自分』によって強く揺らいでいた。

オリビアへと歩み寄るライオット。
だが、オリビアは咄嗟に声を上げ拒絶する。

オリビア「近づかないで!」
ライオット「・・・・・・」
オリビア「・・・近づかないで・・・」

突如、頭を押さえて苦しみだすオリビア。

パペット・プロジェクトにより生み出されたクローンは、自分の感情よりも外部から入る命令の方が圧倒的な優先順位を持っている。その人自身が自分の意思で動いていると思っている事さえも、実はそれ自体がプログラムされた命令である事も少なくない。
その命令に背いたり命令以外の行動をとると、本能レベルでペナルティが課され激しい痛みや吐き気に襲われるのである。

ライオット「・・・オリビア・・・!」
オリビア「・・・だめ・・・!」

ライオットに向けられていた銃口から放たれる銃弾!
それは逸れることなく、ライオットの足を襲った。

ライオット「ぐあああ!」
オリビア「あああ!」

突如襲った痛みに、体勢を崩し片膝をつくライオット。

オリビア「お願い・・・やめて・・・!」
ライオット「・・・オリビア・・・!」
オリビア「体が言うことを聞かない・・・!」

体を震わせながら立ち上がるライオット。
だが、無情にもオリビアの指は彼のもう一方の足へ向け引き金を引く。

ライオット「・・・あああ!」
オリビア「もうやめてってば!」
ライオット「約束しただろ・・・?」
オリビア「・・・・・・」
ライオット「・・・何があっても・・・君を独りにはしない・・・!」
オリビア「もう止めて!どうして偽者の私なんかの為にそこまでするの!?私は本物のオリビアじゃない!」
ライオット「本物とか偽者とか、大事なのはそんなことじゃないだろ!俺が愛していたのは、君だ!君だ、オリビア」
オリビア「・・・・・・」

オリビアは腕に力を込める。
それは相反する2つの力がせめぎあっているような様子。

オリビア「・・・これ以上、辛そうなあなたを見るのは・・・辛い・・・」
ライオット「・・・何をしている?」
オリビア「ライオット・・・私もあなたを愛していたわ・・・」

その言葉を言い終えた直後、自らの手に握られた銃を自分の喉へと当てる!

ライオット「オリビア!やめろ!」
オリビア「この気持ちは、本物だよね?」
ライオット「オリビア!!」

そして舞台は闇に包まれ、響きわたる銃声!!

ライオット「うああああああ!!」

悲痛な叫びを上げる彼の眼前で、彼への愛を貫き通した一人の女性の身体がゆっくりと崩れ落ちる・・・。



4月9日午後7時0分、コールドスプリング修道院、地下研究室。

周囲を警戒しつつ歩みを進めるギル。

エマ「ようこそ、我が楽園へ」

声の聞こえる方向へ目を向けるギル。
その目に映ったのは、敬虔な修道女を演じながら『パペット・プロジェクト』を進めてきた研究者、エマであった。

ジョセフやシャーロットと共にいた時のようなおとなしい雰囲気はかけらも無く、野心に溢れたその本性を隠すことなくさらしている。

エマ「また会えて嬉しいわ」
ギル「・・・お前か」
エマ「覚えていてくれたみたいで、光栄よ」
ギル「ふざけやがって」
エマ「ショーは最前列で見たいの。その方がドキドキするじゃない?」
ギル「全部お前の仕業だったんだな」
エマ「ええ、そうよ。楽しませてもらったわ、幼馴染み同士の殺し合い」
ギル「その為だけにオリビアを?」
エマ「そうよ。最愛の人を友人に殺された者の苦悩が見たくてね」
ギル「・・・趣味が悪すぎだな」

その言葉に対して悪びれる様子がないどころか、言葉通りにエンターテイメントの一つとして捉えているような節まで見える。
その話題へ答える事無く、自分の話題へと話を変えるエマ。

エマ「あなたをここまでどう連れてくるか、悩んだわ」
ギル「その結果があのエセ囚人か」
エマ「あなただったら見破るかも知れないと心配したけど、思い過ごしだったようね」
ギル「・・・俺に何の用だ?」
エマ「あなたこそ私に会いたかったんじゃなくて?」
ギル「そうだな。とっとと始末して帰りたいよ。こんな所、長居はしたくない」
エマ「それで?私を殺せば普通の幸せが訪れるとでも思っているの?」
ギル「お前を殺すことが出来れば、それ以上は何も望んじゃいない」
エマ「そう・・・じゃあ冥土の土産に、あなたの力を見せてよ」
ギル「・・・何?」
エマ「どこまで能力を引き出せたか、まだ確認していないもの。研究の成果を、見せて?」

自らの命の危険について全く考えていないのか、研究の行く末を見届ける事が彼女にとっての第一義なのであろうか。
だが、彼女の取り組んできた研究の成果とは何を意味するのか、真意を量りかねるギル。

ギル「・・・何を言ってる?パペット・プロジェクトは従順なクローンを造る研究だろ?」
エマ「まさか、自分は研究の為に拉致された、連続失踪事件の被害者だと思ってた?」
ギル「・・・・・・」
エマ「あなたは、私たちの研究によって造られた、クローンよ。本物のギルは、とっくに死んでる」
ギル「・・・・・・」
エマ「私たちは独自の研究を始めたの。人間の筋肉は過剰な力を発揮した場合、自らを破壊してしまう。その為に通常は脳が筋力を抑制するリミッターを掛けているの。本能を司る大脳辺縁系を興奮させドーパミンを発生させることによって、理性が遮断され本能が強く働き、そのリミッターが外れる。これがいわば火事場の馬鹿力、潜在能力よ」
ギル「・・・・・・」
エマ「それを意図的に引き出す技術を発明したの。でも実験は失敗。やはり普通の人間の筋肉では、その能力に耐え切れなかった。そこでパペット・プロジェクトを応用し、遺伝子を操作してそれに耐え得るだけのより強靭な筋肉を持つクローンを造り出した。それが私たちのパペット・プロジェクト。実験は成功したわ」
ギル「・・・そんなのでたらめだ」
エマ「おめでたいわね。でも、あなた、小さいときに重度の火傷を負ったみたいだけど・・・その傷痕はどこにあるの?」
ギル「・・・・・・」

ライオットとチェイスとの絆を信じていたギルであったが、返す言葉が無く軽口を叩く余裕さえも無い。
否定しない、という事が裏返って肯定、となるのだろうか・・・。

エマ「もう一つ残念なお知らせよ。あなたのテロメアは、他のクローンに比べて更に短くなっているわ。あと、何日生きられるのかしらね?」
ギル「・・・・・・」
エマ「そこで提案よ。私の研究に協力しない?」
ギル「・・・何だと?」
エマ「実験の成果としてあなたの能力を測らせて欲しいの。途中で逃げられちゃったから。もちろん、タダでとは言わないわ。代わりにあなたの寿命を延ばす治療法を全力で探してあげる。約束するわ。その方が私もゆっくりあなたを研究できるから。どう?」
ギル「・・・・・・」
エマ「今までのことは全て水に流してあげる。ただ、使わなくなった研究所が無くなっただけ。手に余していたところだから、むしろ感謝するべきかしらね?」
ギル「・・・・・・」
エマ「何を悩んでいるの?何か守る物でもある?そんな訳無いわよね?あなたは一匹狼、誰ともつるまないし、何にも固執しない。そうでしょ?」
ギル「・・・・・・」
エマ「分かった、私の誘いをおいそれと受け入れることに抵抗があるのね?あなたはそういう節があるから。孤高であるが故、周囲に同調するのが不得手なだけ。何も恥ずかしがることはないわ。そんなプライド、功を奏さない。ほら、素直に私の話を・・・」

一発の銃声により、エマの口から流れ出ていた言葉が止まる。

エマ「・・・え・・・?」
ギル「・・・俺の何を知っている?」

それまで押し黙っていたギルの口から出た言葉。そして彼の手に握られた銃。
その銃弾により、エマの腹部からおびただしい血が流れ出ていた。
たまらず倒れ込み、うずくまるエマ。

エマ「・・・私の寛大な待遇を放棄するなんて・・・愚かな奴・・・あなたには、ほとほと呆れるわ」
ギル「光栄だ」

意識を失いかねないような大怪我を負いつつも、尊大な言葉を投げかけるエマ。
これが彼女の精一杯のプライド、なのだろうか。
だがギルの返す言葉はそれを一蹴する、力に満ちたものだった。

歩き出すギル。
だがその背後では、何かに気付いたエマがつぶやく。

エマ「・・・分かった・・・あいつはこれを狙っていたのね・・・?」

その言葉に、ギルは足を止める。

エマ「私が死ねば権利は再びあいつに戻る・・・そうか・・・そういう事ね・・・」
ギル「・・・何を言っている?」
エマ「・・・可哀想に・・・あなたは利用されていたのよ・・・私を殺すよう仕向けられていたの・・・」
ギル「・・・誰に?」
エマ「あなたの、生みの親よ」
ギル「・・・それはお前じゃないのか?」
エマ「何を言っているの?その時、私はただの助手だったじゃない」
ギル「何?」
エマ「ああ、そうよね、記憶が無いのよね」
ギル「・・・誰の事だ?」
エマ「私に追放されて諦めていたと思っていたけど・・・ふふふ・・・あいつの方が一枚上手だったって事か・・・」
ギル「おい!誰だ!?名前を言え!」

大声で叫ぶが、エマからは返事が無い。
彼女はすでにこと切れていた。

ギル「・・・俺が利用されていただと・・・?・・・誰に・・・?」

予想だにしなかった展開に、考えがうまくまとまらない。
あらゆる可能性を頭の中で巡らせていた彼の体に衝撃が走る!!

背後から銃声が響き、片足を押さえて倒れるギル。

ギル「・・・ぐああ・・・!」

たまらずうめき声を上げるギル。
そして、その場へと現れたのは、あまりに予想外の人物。

肩の高さで構えた銃は、まっすぐにギルを捉えていた。
彼女の名は、マリー。
HDIの新任捜査官としてギルにも協力していた彼女が、何故・・・?

マリー「油断大敵」
ギル「・・・お前・・・!」
マリー「そう、あなたを生んだのは私。でもジャックっていう失敗作があなたを逃がしたせいで私は責任を問われ、研究所を追われたわ」
ギル「・・・あいつが?」
マリー「本当に記憶が無いのね。でもそのお蔭であなたに近付くことが出来たんだけど」
ギル「・・・・・・」
マリー「私は、私を追いやった奴らに復讐をしたかった。HDIに入ったのもその為。でも発電所の近くで会った時、私の顔を見ても気付かないあなたを見て、利用してやろうって思ったの」
ギル「・・・・・・」
マリー「ご苦労様。これで再び研究に戻ることが出来るわ」

そこへ、ロックとヒューゴが登場。

マリー「こんな事考えた事無い?自分以外の全員がロボットだったらって」

続いて、オリビア、マイケルが登場。

マリー「会話とか行動とか、実は全部プログラムされてあるものだったらって」

クレア、ジョセフが登場。

マリー「私も幼い頃に考えて酷く恐怖した事があったわ」

フォックス、ジャックが登場。

マリー「ね?」

そこに現れた全員が同時にゆっくりと手を上げていき、手に持った銃の先をギルへと向ける。

マリー「怖いでしょ?」

そして舞台は闇に包まれる。

ギル「・・・だから、女は嫌なんだ」

だが、そうつぶやいたギルの瞳に諦めの色は浮かんではいない。

彼に向けられた銃の引き金が引かれようとしていたその瞬間!!
ギルが目を閉じ呼吸を整えた直後、彼の身体は弾けるように走り出していた!
力強く大地を蹴り、パペット達の包囲網を破る!
そして一陣の風となり、修道院の出口を目指しひた走る!!

クローンであろうがオリジナルであろうが、彼の心臓が脈打っている事には一切の偽りは無い。
本能が牙をむき、「生きろ!」という内なる声が彼を突き動かす!!


・・・そうして、明るい太陽の下、膝程の高さまで積もった雪の中をゆっくりと歩く数名の人影が。

先頭を歩くギルの数歩後ろに、足を負傷したライオットとそれを支えるチェイス。そしてその傍らを歩くシャーロット。
彼らだけが修道院を無事に脱出できたのである。

ギルが振り返り、彼らを見て微笑む。
これまでの寡黙な彼からは想像もできない、晴れやかな笑顔であった。

それに応えるように、チェイスとライオットが微笑む。
例えギルの身に事情が有ろうとも、彼ら3人の友情に偽りは無い。

その後ろで彼らを見るシャーロットの口元も緩む。
・・・だが、彼女が顔に浮かべたそれは、ギル達のものとはあまりにもかけ離れていた。

慈愛の心を具現化したような彼女のイメージとは別人とさえ思える。
どす黒い感情が形を成したような邪悪な笑み。


そして・・・彼女の手には、小さな紙切れが・・・。



終劇。




これにて、『天国』にて繰り広げられたこの物語は終わりです。

一応分類的にはバッドエンドになるんでしょうかね。


我々の世界でも行われているクローン技術による遺伝子操作は、かつてアダムとイブがエデンの園を追われたきっかけとなった『知恵の実』の新たな形なのかもしれません。
この物語にとっての『蛇』は、マリーなのか、それともまた別の誰かがいるのか。

『命の創造』という神の御業を真似する人間に対し、どのような結末が待ち受けているのでしょうか・・・。
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プロフィール

ケンタ

Author:ケンタ
おいしい食べ物への好奇心が人一倍(一説には3倍)の男です。
自分が美味しいものを見つけるのが嬉しいのはもちろんですが、それを他の人に教えて喜んでもらえる事がより嬉しいです。
まだまだ知らない美味しい物を探しまくります!

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